食道がんの症状は?

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

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食道がんの症状は?

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食道がんの症状とは?

食道がんの症状とは?

「飲み込みにくい」、
「食べ物がつかえる感じがする」、
「のどの奥に何かある」
当院にはこのような理由で胃カメラを希望する患者さんが多くいらっしゃいます。耳鼻科を受診して異常がなく、胃カメラを勧められて来院する方もいます。

皆さんが最も心配するのは、
「自分は食道がんではないか?」
「ひどい逆流性食道炎があるのでは?」
ではないでしょうか?

食べ物がつかえる感じがする

今回は、食道がんの症状についてまとめてみました。胃カメラを受けることを迷っている方がいたら、参考にしてみてください。

解説の結論

あなたのその症状は、かならずしも食道がんとは限りません。安心のためにも胃カメラを受診しましょう。

まず、食道がんの代表的な症状を解説していきましょう。

胸の違和感

日本人にできる食道癌は、胸のあたりにできることが最も多いです。その次がみぞおちあたりです。そのため、胸のあたりに異常を感じることが多いのです。

代表的なのは、「胸がしみる感じ」、「胸がチクチク痛む感じ」です。これらは比較的早期の段階で感じる症状です。

ただ、いつも感じるわけではなく、これらの症状は一時的に消えることもあります。

飲食物のつかえ感、体重減少

食道がんは、食道の表面から発生して、徐々に食べ物の通り道へと成長していきます。がんの成長に応じて、この通り道は狭くなり、食べ物がつかえるようになります。

さらに進行すると、軟らかいものや液体しか通らなくなります。

最も深刻な状態では、唾液すら通らず、吐いてしまいます。飲食物がつかえることで食事の量が減り、体重が減少します。

胸や背中の痛み、咳、声のかすれ

食道は心臓や肺、気管支など生命維持に欠かせない臓器の近くを通ります。食道がんが進行すると、癌細胞はもともと発生した食道から、これらの重要臓器へと広がっていきます。

食道は背中側を通りますので、周囲にある肺・背骨・大動脈などに広がっていくと、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。

また、食道がんは胸の中間あたりに起こりやすく、のどから肺への連絡通路であり、隣り合っている気管や気管支に広がることがあります。

気管や気管支にがんが広がると、その刺激によって咳が出ることがあります。声の調子を調整している、声帯を調節している神経へ広がると声がかすれることもあります。

食道がんになりやすい人は?

今のところ、日本人の食道がんには特徴があります。

〇喫煙習慣のある方
喫煙習慣があるだけで、食道がんの発症リスクは3倍になります。また、1日20本以上吸う人は、5倍になります。

〇飲酒習慣のある方
日本酒に換算したアルコール量で4合以上、毎日飲む人は、食道がんの発症リスクが10倍になります。お酒を飲んで顔が赤くなる人は、同じ量を飲むと、食道がんの発症リスクは実に100倍になります。

特に、飲酒をして顔が赤くなる人は要注意です。アルコールから生まれるアセトアルデヒドという発がん物質をため込んでしまう傾向があります。

飲酒習慣のある方

〇50歳以上の男性
男性は、女性の5-6倍食道がんになりやすいといわれています。男性は女性より喫煙率や飲酒率が高いことが原因と考えられています。また、50歳以降で食道がんは発生しやすく、60-70歳代でピークを迎えます。

〇過去に喉頭がん、咽頭がんになった方
のどを構成する臓器である喉頭と咽頭は、食道と同じ表面構造になっています。食道がんと同時に発生することがあります。喫煙や飲酒の刺激は、喉頭や咽頭、食道に同じように悪影響があります。

〇バレット食道と診断されている方
最近、注目されているのは逆流性食道炎からの食道がん、バレット食道腺がんです。
これは食道の下方、胃との境界あたりに発生するがんです。欧米人に多い食道がんです。

日本人でも、近年、食べすぎや太りすぎから発生しやすくなりました。

バレット食道と診断されている方

また、日本人の胃は逆流症状が起きやすく、ピロリ菌を持たない人はさらに胃酸が増加するので、今後、日本人で増加することが懸念されています。

以上のことからわかるのは、
タバコを吸わなくて、飲酒もそれほどしない、食べすぎや太りすぎでもない、

普通の人は、食道がんのリスクが低い!

ということです!
食道がんは生活習慣が原因となることは押さえておきましょう。

食道がんと思ったけど、一番多いのはこれ

実際に、胃カメラをしていて一番多いなと感じるのは、
「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」です。
「のどに不快感、異物感がある」
「のどがつまって重苦しい」
「喉に違和感がある」

胃酸の逆流症状と一緒に起こることもあり、
「苦い味がする」
などの逆流性食道炎に似た症状を示すこともあります。

またの名を、「ヒステリー球」といいます。
ストレスが原因となることが多い病気です。

食道がんと思ったけど、一番多いのはこれ

この病気では、耳鼻科診察や胃カメラでも異常所見はありません。
しかし、症状ははっきりしていて、のどを中心とした違和感に悩まされる病気です。

でも、心配な食道がんではなくて、ストレスから起こるこの病気だとわかれば、意外と症状が軽くなることもあります。
一度勇気を出して、胃カメラを受けてみてはどうでしょうか?

耳鼻科診察や胃カメラでも異常所見はありません