その下痢症状ではこんな病気を疑います

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

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その下痢症状ではこんな病気を疑います

日常診療でよく遭遇する疾患を取り上げてみます。

感染性胃腸炎

代表的な病原体は、ノロウイルスです。激しい下痢と嘔吐が特徴です。下痢には下痢止め、吐き気には吐き気止めと、薬で症状を抑えたくなる気持ちはわかりますが、かえって症状を長引かせる結果になりかねません。水分摂取と休息を十分にとってください。発熱が酷い場合は、O157に代表される病原性大腸菌などの細菌性胃腸炎の可能性があります。抗菌薬の投与が必要ですので、早めの受診をお勧めします。

感染性胃腸炎では、病原体が体内に入ってきても、すぐ下痢などの症状が出現するわけではありません。潜伏期間といって、病原体が症状を出すまでの時間があります。ノロウイルスの場合は、24〜48時間あります。
小さいお子さんでは、ロタウイルス感染の可能性があります。小児科で検査が可能で、予防ワクチンもあります。
鶏肉の生食摂取の後に起こることで有名なのは、カンピロバクターという細菌性腸炎です。エリスロマイシンという抗菌薬が有効です。
長期入院中で免疫の弱っている方の下痢では、MRSA腸炎や偽膜性腸炎を疑います。バンコマイシンなど効力のある抗菌薬がありますが、難治性細菌性腸炎で再発しやすい特徴があります。

感染者が身近にいる時、感染予防は石けんと流水での手洗いが基本です。
便やおう吐物を廃棄する時は十分な注意が必要です。手袋、マスク、エプロンを着用して処理しましょう。石けんと流水で十分に手を洗ってください。

潰瘍性大腸炎

近年、発症患者が増えている疾患です。多くの場合、血便がいっしょに起こります。軽い発熱や、渋り腹といったスッキリしない排便状態がつづます。診断には大腸内視鏡が必要です。組織を取って、潰瘍性大腸炎の所見を満たす場合、難病認定され治療費の補助があります。

発症する年齢は20〜29歳の若い世代が主体ですが、高齢の方でも発症例はあります。男女差はありません。欧米では非常に多い病気ですが、近年我が国でも患者数が激増しています。原因は不明ですが、遺伝的要素があると報告されています。長期経過例では、大腸がんを合併することがありますので、定期的な大腸内視鏡検査が必要です。治療は内服治療が主体ですが、重症例では腸切除が行われることがあります。

クローン病

近年、発症患者が増えている疾患です。下痢の他、血便や腹痛を伴うことが多い病気です。口から肛門まで、消化管のどの部位にもできる病気です。大腸内視鏡では、敷石状外観と言って、炎症が強く変形の酷いところと正常に近いところの混在した内視鏡像を呈することがあります。強い炎症により、胃腸が細くなって腸閉塞の状態となることがあります。このため外科手術の適応となることがあります。また消化管に広範囲に影響するため、長期的には栄養療法が重要な疾患です。

10歳代~20歳代の若い世代に起こりやすく、約2:1と男性に多くみられます。原因は不明とされ、潰瘍性大腸炎と同様に欧米に多い病気です。またクローン病は瘻孔と言って腸が腸以外と繋がってしまったり、炎症の持続によって腸が細くなったり(狭窄)、膿を体内に作ったり(膿瘍)します。肛門部病変などの腸管外の合併症も多く、治療が難渋しやすい病気の一つです。

大腸がん

「便秘と下痢を繰り返す」という典型的な症状があります。これは、大腸がんが発育して大腸の管腔が狭くなった状態で起こります。狭くなったところを便が通過せず便秘になり、大腸が詰まった便を通過させようと水分を分泌して便を柔らかくして押し出すことで下痢になります。このサイクルを繰り返し起こすのが進行した大腸がんの典型的な症状です。放置すると完全な腸閉塞となり、命に関わる状態となります。大腸の気になる症状は、大腸内視鏡でチェックすることをお勧めします。

過敏性腸症候群

下痢や便秘など多彩な便の症状です。排便によって症状は軽くなることが特徴です。女性にやや多く、感染性胃腸炎の後に起こりやすいと言われます。大腸内視鏡で調べても何も所見がないにも関わらず、症状が長引きやすい病気です。治療は、ストレスが契機となることが多いことから、生活習慣の改善を基本に、整腸剤や便の性状を整える内服薬などが症状の緩和に有効とされます。

過敏性腸症候群の診断基準として有名な、ローマⅢ基準は以下の通りです。
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、 下記の2項目以上の特徴を示す

  1. 排便によって症状がやわらぐ
  2. 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
  3. 症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

まとめて示されると、心当たりのある方も多いのではないでしょうか?国民全体の1割がこの病気であるとも言われています。原因は不明ですがストレスによるものが予想されています。まさに現代病ですね。

慢性膵炎

消化不良による下痢が特徴的です。脂肪便と言って、灰白色で水に浮きやすい軟便も見られます。慢性膵炎は、アルコール性が70%と多く、膵臓の炎症により正常組織が壊され、消化酵素の分泌が減少したために起こります。また鎮痛剤が必要な腹痛を訴えることもあります。

慢性膵炎は進行すると、胆石のように、膵石が溜まることにより腹痛が強くなることがあります。また糖尿病を続発することがあります。 長期的には、膵癌のリスクが高まるかとも知られています。
治療は、原因となるアルコールを禁止することが最も効果があります。膵石による腹痛の緩和のためには、内視鏡治療(ステント留置)が行われることがあります。