その吐き気ではこんな病気を疑います

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

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その吐き気ではこんな病気を疑います

日常診療でよく見かける疾患を主に説明します。診察する機会は少なくとも、重症化しやすい疾患も紹介します。

機能性ディスペプシア(FD)

● 胃もたれ(食物がいつまでも胃に残っている感じ)
● むかつき
● ゲップが出る
● 横になるとお腹が苦しい(右横を向いたり、起き上がったりすると楽になる)

当院にはこのような症状で、「気になって眠れない」、「何か大きな病気があるのではないか」と心配になり、受診される患者さんが多くいます。

機能性ディスペプシアに伴う吐き気の症状は、胃・十二指腸の食物を奥へと送り込む機能(消化機能)の不具合から起こっていると考えられます。

胃カメラをすると、当日は朝から絶食でいらしていただいているにもかかわらず、患者さんの胃に食物が残っていることがあります。また本来あるはずのない腸液が胃の中に逆流していることもあります。これらは胃の動きが悪くなって、食べ物をうまく消化できていない証しであると考えられています。また胃酸も食道へと逆流しやすく、逆流性食道炎とよく似た、「苦いものがあがってくる」という症状をお聞きする患者さんもいます。
ただ胃カメラでは、患者さんの予想に反して、胃潰瘍や胃癌などの重大な病気は見つからないことも多く、「なにもありません。胃カメラでは問題なしです。」と、説明することの多い病気です。他院でも同じように説明され、「治療する必要なし」と結論付けられ、モヤモヤした心理状態で当院の診察を受けに来る患者さんがいます。当院では、機能性ディスペプシアの可能性をお話しした上で、症状が重い時には内服治療をお勧めしています。

原因としては、ストレスや不眠が代表的です。またアルコールや喫煙などの生活習慣が影響を及ぼすことがあります。カフェインなどの刺激物も注意が必要です。ストレスからコーヒーを飲みすぎて、機能性ディスペプシアの症状を発症した方もいました。

胃カメラで大きな異常がないのが機能性ディスペプシアですので、治療はストレスや生活習慣の改善が最も効果的です。しかしながら、それがなかなか難しいのが現実です。胃酸を抑える作用の薬や胃腸の運動を整える薬を処方することがあります。また抗不安薬などの心療内科的な内服薬を処方することもあります。ただ内視鏡を受けて、ご自分の胃の状態を確認すると、症状が消える、または軽くなる方も多くいます。ただ胃カメラがストレスになる方も多くいますので、当院のような麻酔を使って心理的ストレスの軽い胃カメラを受けることが良いと思います。
内服を希望されない方には、薬局で買える薬として、「ガスター10」や「大正漢方胃腸薬」などの市販薬をお教えしています。

感染性胃腸炎

代表的な原因であるノロウイルスの他、ウイルスや細菌により吐き気や下痢症状を示します。基本的な治療は、水分摂取と安静です。ウイルスによるものか、細菌によるものかで対処方法は異なります。細菌性では、早期に抗菌薬の投与が必要なことがあります。ウイルス性では、有効な抗ウイルス薬はありません。整腸剤や制吐剤を補助的に服用し、できるだけ水分と栄養を摂ることが必要です。

逆流性食道炎

痛飲した翌日に自覚することが多い疾患です。なんだか胸焼けがする、喉の奥の苦い感じなどの気持ち悪い症状、そして長引くとき、逆流性食道炎を疑います。
胸焼け症状が特徴的ですが、吐き気など多彩な症状を出すことがあります。胃内視鏡で炎症の程度を確認し、制酸剤などの投与で症状緩和を図ります。アルコールや食事のタイミングなどの生活習慣の是正が有効な場合があります。

急性胃炎

正式には急性胃粘膜病変とよばれます。ストレスやアルコール、鎮痛剤などの薬剤の影響で生じることがあります。ピロリ菌による急性胃炎も少ないながら存在します。胃内視鏡では、胃の赤黒く変色した血液の付着が特徴的です。内視鏡では大きな所見はなくても、吐き気などの症状は強い場合があります。まずはストレス他、原因を取り除くことが必要です。制吐剤や制酸剤が有効なこともあります。

腸閉塞 (イレウス)

激しい腹痛と吐き気が特徴です。入院が必要な状態です。胃腸の一部が詰まってしまう状態です。破裂すると、腹膜炎という生命に関わる状態となりますので、早急な処置が必要です。腸閉塞では少量の下痢を伴うことがあり、排便があるからといって油断はなりません。大腸がんでも腸閉塞を起こすことがあり、当院では、大腸内視鏡を受診される方全員に腹部エコーで腸閉塞の有無をチェックをさせていただくこととしています。

心筋梗塞

胸の激しい痛みが特徴的な病気です。動脈硬化が原因で起こる、生命に関わる病気です。胸だけでなく、肩や背中、時にはみぞおちに痛みが出ることがあります。吐き気を伴うことが多く、消化器系の病気と紛らわしいことがあります。当院では、念のため、心電図で心臓のチェックをさせていただくことがあります。

便秘症

腹部膨満感や下腹部痛が多いですが、便秘の悪化により、吐き気を訴える方もいます。現在の便秘薬では、便の固さを調整するものと、腸の動きを活発にするものとがあります。どちらも複数ありますので、症状に応じて使い分けていきます。
大腸がんによる便秘症状の可能性もあり、大腸内視鏡を、年齢に関わらず、一度は受診することが望ましいです。

虫垂炎

右下腹部の持続する腹痛が典型的ですが、前駆症状としての吐き気にも注意が必要です。重症化すると虫垂穿孔(穴が空く)から腹膜炎となり、命に関わることがあります。治療は、軽症では抗菌薬投与などで様子を見ることもありますが、化膿していて危険な状態であれば外科手術が行われます。近年では、腹腔鏡手術がよく行われます。

糖尿病

糖尿病性ケトアシドーシスという病状があります。糖尿病では症状がないことがほとんどですが、この糖尿病性ケトアシドーシスでは吐き気が見られます。意識障害、昏睡状態など重篤な状態に陥りやすい疾患です。救急センターへの受診が必要です。若い人に多く、インスリン不足が原因の1型糖尿病で起こります。またペットボトル症候群(清涼飲料水アシドーシス)という2型糖尿病でも起こります。清涼飲料水をたくさん飲む方に起こりやすい糖尿病です。

高血圧性緊急症

高血圧がもとで吐き気を催すことがあります。血圧220/110mmHg以上を認めることもあります。吐き気以外にも頭痛、意識障害、けいれん、視力・視野障害を起こすことがあります。脳障害へと発展することがあり、救急センターへの受診が必要な病態です。

良性発作性頭位めまい症

ぐるぐるまわるようなめまいとともに、吐き気を催す病気です。めまいは短時間で終わりますが、ベッドに横になったときや首を回したときなど、頭の位置を変えたときにめまいが起こるのが特徴です。良性とあるように命に関わる問題ではありません。耳の奥、内耳の機能障害に起因するもので、耳鼻科疾患の一つですが、内科クリニックでも頻繁に拝見する病気です。

年齢が高いほど罹りやすいと言われます。エプリー法という、めまいの起こらない頭位を30秒ほど保持する方法が90%の患者さんで有効との報告もあります。実際には、抗不安薬などの点滴治療が有効である印象があります。

くも膜下出血

突然の激しい頭痛が特徴的ですが、吐き気も頭痛とと共に訴えられることがあります。脳内出血と違って、手足の麻痺が起こることは稀です。脳動脈瘤の破裂が原因の1位です。突然死の原因ともなる、重篤な結末となりやすい病気です。迅速な診断が予後に大きく関わりますので、救急センターなどの高次救急機関への受診が必要です。
治療は、厳格な全身状態管理が基本です。手術可能な例では、脳動脈瘤クリップ術が行われます。
脳ドックで脳動脈瘤が早期発見できることがあり、MRIが脳動脈瘤診断に役立ちます。

髄膜炎

脳や脊髄を保護する膜を、髄膜と呼びます。この髄膜に感染症を起こした状態を、髄膜炎と呼びます。症状は、発熱、吐き気、意識障害などです。重要な診察所見としては、首の後ろが硬直した状態、項部硬直があります。原因として、細菌、ウイルス、真菌(かび)があります。細菌と真菌による髄膜炎は、重篤な症状となりやすく、抗菌薬や抗真菌薬の投与が必要です。髄液検査やCTなど迅速な精密が必要です。救急科の他、神経内科や脳神経外科などの診療科による診察が必要です。