機能性ディスペプシアの症例写真と解説

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

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機能性ディスペプシアの症例写真と解説

内視鏡の症例 機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは

「食後に胃もたれするようになった」、
「食事をしていてお腹がすぐにいっぱいになってしまう」、
「食後にお腹が張って苦しい」、
胃の動きに関連する症状です。食べ物を消化しきれていないようです。
「みぞおちのあたりが痛い、焼ける感じがする」、
胃の感覚的な問題のようです。刺激が加わることで起きている症状のようです。
これらは当院の胃カメラを受診される方の50%以上の方が訴える症状です。
健康診断を受診される方のうち11~17%の方が、問診票に上記のような症状を書き込むそうです。日常的によくある症状とも言えます。

この病気は、他院で過去に受診した胃内視鏡検査で、「大きな異常はありません。」と、告げられることの多い病気です。
では、何も胃に異常がないかというとそうではなく、その症状は、「機能性ディスペプシア」の可能性があります。
この病気は、一昔前まで神経性胃炎、慢性胃炎などと言われることが多かった病気です。近年、病気の概念がはっきりしてきており、効果のある薬も発売されています。
内視鏡などの検査で大きな異常がないため、「気にしないように」と言われることが多いように見受けられます。治療が行われないために、さらに症状が悪化するケースもあります。

機能性ディスペプシアの原因とは

原因としては、胃の運動異常、胃の知覚過敏、心理的なストレス、ピロリ菌感染など様々です。
私の経験では、過去に上司から理不尽な理由で、激しい叱責を受けた時に、胃の当たりが“熱―く”なる感じが生じました。これは心窩部灼熱感とも言います。胃が燃えるような感覚です。
今思えば、これは機能性ディスペプシアと思われます。当時はこのような病気の概念はありませんでした。
当院での経験では、私の実体験のように、機能性ディスペプシアは大きなストレスをきっかけに起こることが多いと受け止めています。

機能性ディスペプシアの診断方法とは

この機能性ディスペプシアは、最近よくある逆流性食道炎とまぎらわしいことがあります。実際、機能性ディスペプシアの患者さんには、軽い逆流性食道炎を伴っている場合があります。文献では25~50%の方に生じているとの報告もあります。また逆流性食道炎も同様の症状が感じられることがあり、区別が難しいケースもあります。そのほかに、胃がん、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの、胃の症状を出しやすい重篤な病気を確認するためにも、胃内視鏡検査が必要です。またピロリ菌感染の検査や、必要に応じて血液検査や超音波検査を行い、機能性ディスペプシアを診断します。

また機能性ディスペプシアの方には、下痢や便秘を伴うお腹の張りや痛みといった、過敏性腸症候群や慢性便秘などがともに起こることがあります。これらは大腸内視鏡も併せて行う必要があります。胃大腸ともに、安楽な内視鏡検査を提供する内視鏡専門クリニックとしての当院を受診するメリットの一つです。また当院での経験では、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群の方は、「痛いのでは?」、「つらいのでは?」といった内視鏡検査への強い抵抗感があるように見受けられます。当院は、土日診療や麻酔使用、胃大腸同時検査、またクチコミで評価されている手厚い接遇により、皆様の内視鏡検査への心理的なハードルを下げることに集中しています。

機能性ディスペプシアの治療とは

機能性ディスペプシアの治療は、胃の知覚過敏にはプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制薬を処方します。胃の運動障害には、胃運動調整薬を処方します。効果の乏しい方には、漢方薬や抗不安薬へ変更することがあります。心理的ストレスが強い方には、心療内科への受診をお勧めすることがあります。

潰瘍性大腸炎
食道と胃の境界での画像です。軽度の逆流性食道炎(胃粘膜島)が確認されますが、毛細血管の束がほぼ明瞭に確認できることから、逆流所見としては軽度であると診断されます。無症状の人間ドック受検者にも見られる所見です。
潰瘍性大腸炎
胃のちょうど真ん中ほど(胃体部)の画像です。胃の襞の上に軽い発赤があることから、軽い胃炎を確認できます。しかしこの所見は、無症状の人間ドックの受検者にも確認できるほどの軽いものです。黄色い付着物が胃の壁に確認されます。これは腸液が胃の中に逆流し、胃酸により変性したものと思われます。胃の運動異常を思わせる所見です。