胃・十二指腸潰瘍の症例写真と解説

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

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胃・十二指腸潰瘍の症例写真と解説

内視鏡の症例 胃・十二指腸潰瘍

胃潰瘍の典型的な画像です。凹んだ潰瘍に厚い白色の付着物、白苔(はくたい)が特徴です。白苔は凹凸がなく、表面は滑らかな外観です。白苔の周りには赤い均一な縁取り、再生上皮があります。
胃潰瘍の画像と同じ部位の正常画像です。
十二指腸潰瘍の画像です。
赤い粒が見えますが、これらは小血管です。
十二指腸の同じ部位の正常像です。

早期に発見したい、胃・十二指腸潰瘍

早期に発見したい、胃・十二指腸潰瘍

「胃が痛い」誰しも感じたことがある症状です。その原因を、
「胃が荒れているから」と、自己判断されてはいませんか?

ストレスを感じた時に、胃の痛みを覚える方は多いと思います。その他、胃の痛みの原因は、アルコールだったり、鎮痛剤のような内服薬だったりします。多くの場合、胃の痛みは、胃炎や逆流性食道炎など、消化管の粘膜に炎症が生じることが原因です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、この炎症が消化管粘膜からより深い層へと進んだ状態を言います。 痛みの程度は同じようなものなので、痛みという症状だけでは、胃炎などの炎症と胃・十二指腸潰瘍を鑑別することはできません。また、胃・十二指腸潰瘍では全く症状のない方も10%程度います。胃炎や逆流性食道炎であれば、無治療で症状が消えてしまう方もいますので、必ずしも胃内視鏡を受ける必要はないかもしれません。

胃・十二指腸潰瘍で胃内視鏡が必要な理由

胃・十二指腸潰瘍で胃内視鏡が必要な理由

しかし、その胃の痛みが胃・十二指腸潰瘍であったとすると、胃内視鏡による正確な評価と、早急な治療が必要です。胃・十二指腸潰を胃内視鏡で早期に発見する必要性について説明します。
胃・十二指腸潰瘍は、出血と穿孔(せんこう)を起こす危険性があります。穿孔とは胃や十二指腸の壁に穴があくことを言います。出血では内視鏡やカテーテル治療での止血術が必要なケースがあります。穿孔では、胃や十二指腸の壁に空いた穴から、胃酸や食物が、胃や十二指腸の外へ出て行くことになります。これは腹膜炎という、緊急開腹手術が必要な重篤な状態です。

胃内視鏡では、胃炎などの炎症と胃・十二指腸潰瘍を、容易に識別することができます。炎症は、赤く変色した粘膜であり、潰瘍では粘膜に空いた穴と、それを覆う白い被膜が特徴です。出血を起こしやすい潰瘍は、白い被膜の中に血管が飛び出しています。穿孔を起こしやすい潰瘍は、潰瘍の穴がより深く凹んだ形状をしています。出血と穿孔が同時に起こる潰瘍もありますので注意深い観察が必要です。胃・十二指腸潰瘍が重症化する可能性を、前もって胃内視鏡で調べることは、大きな意味があると思われます。胃・十二指腸潰を胃内視鏡で早期に発見する必要があります。
また、胃潰瘍では、胃がんとの区別がつきにくいことがあります。組織生検法により、がん細胞か良性細胞かを判定する必要があります。必要に応じて、時間をおいて再検査するなど慎重な対応も必要です。このことも胃・十二指腸潰を胃内視鏡で早期に発見する必要性を物語ります。

胃・十二指腸潰瘍の症状

胃・十二指腸潰瘍の症状

胃・十二指腸潰瘍はとても痛い病気です。痛みはお腹の上部、みぞおちあたりに感じられます。医学用語では、心窩部痛(しんかぶつう)と呼びます。心窩部痛は、胃潰瘍では食後に出現するのに対し、十二指腸潰瘍では空腹時や夜間睡眠中に多く出現します。十二指腸潰瘍は20代から40代までの若い方に多く発症します。
胃・十二指腸潰瘍は、痛いのと同時に、出血もする病気です。私は救急病院で勤務していた経験から、胃潰瘍の患者さんをよく拝見しましたが、胃潰瘍の患者さんは痛みとともに貧血症状が多くありました。

貧血とは、体の中の血液が少なくなった状態です。胃潰瘍で出血するのは、胃・十二指腸の壁には血管が多いからです。胃潰瘍から出血しているサインとしては、黒っぽい便です。医学用語では、タール便と呼びます。コールタールのようなドロドロした真っ黒な便という意味です。胃から出血すると血液を吐く患者さんもいます。血液を吐く患者さんは救急車で来院しますが、タール便の患者さんは、外来患者さんは自力で病院に来院されます。
胃・十二指腸潰瘍は、穿孔しやすい疾患です。一度、穿孔をきたすと、胃・十二指腸の外へ胃酸や食物が流れ出るため、激烈な腹痛を生じます。これを腹膜炎といいますが、注意したいのは、十二指腸潰瘍です。十二指腸は壁が薄いため、潰瘍により粘膜が障害されると、壁の厚い胃潰瘍より、容易に穿孔します。十二指腸潰瘍は急激に悪化することがあり、長く続くみぞおちの痛みを感じている若い世代のみなさんは、胃内視鏡を受診すらことに躊躇しないようにしてください。
胃・十二指腸潰瘍を繰り返して発症した患者さんでは、胃・十二指腸が瘢痕形成により固く細くなり、食物の通過障害を起こすことがあります。実際には、胃もたれ、吐き気、嘔吐などの症状を自覚することがあります。

胃・十二指腸潰瘍の原因

胃・十二指腸潰瘍の原因

胃・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌のいる方に多く発生します。胃・十二指腸潰瘍を経験した患者さんは、必ずピロリ菌を検査することをお勧めします。ピロリ菌は、1週間程度の内服治療で除菌することができます。
近年、衛生環境がよくなったこと、そしてピロリ菌の除菌治療が広く普及したことから、ピロリ菌がもとで起こる胃・十二指腸潰瘍は減少しています。一方で、増えている胃・十二指腸潰瘍の原因は、鎮痛剤によるものです。鎮痛剤は、痛み止めとも言いますが、風邪薬にも含まれています。具体的には、関節リウマチ、腰痛症、膝関節症、心筋梗塞や脳梗塞をお持ちで常時内服処方を受けている方は要注意です 鎮痛剤は、胃・十二指腸粘膜を障害する副作用があります。また鎮痛剤の中には、脳梗塞や心筋梗塞の予防薬として用いられるものがあります。

血液をサラサラにする作用があるからです。一生涯服用される方が多く、長く使用するため副作用としての胃潰瘍を経験される方が多いのです。胃潰瘍の予防のために、胃潰瘍治療の内服薬を一緒に服用することをお勧めします。鎮痛剤としての役割を持っているためか、胃潰瘍の痛みを感じない患者さんも多いため、このような鎮痛剤を服用されている患者さんでは、1年に1回の胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
ストレスも大きな原因となります。私たち医療者は、日常生活においてのストレスが原因で胃・十二指腸潰瘍を発症する方を多く経験します。医学的に、因果関係が説明されているのは、熱傷後と脳腫瘍などの脳外科疾患に関連する胃・十二指腸です。

胃・十二指腸潰の治療

胃・十二指腸潰の治療

早期に見つかった胃・十二指腸潰の治療は比較的簡単です。治療法は、胃酸を抑える内服薬(PPI)やピロリ菌治療です。鎮痛剤を服用されている方は、より胃腸障害の少ない薬剤への変更が必要です。

まとめ

    ・胃・十二指腸潰瘍は出血や穿孔などの重篤な合併症を起こしやすい病気です。「胃が痛い」などの腹部症状があるときは、積極的に胃内視鏡を受診するようにしましょう
    ・胃・十二指腸潰瘍は原因の治療(ピロリ菌治療、鎮痛剤変更)により治癒しやすい病気です。