胃がんの症例写真と解説

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

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胃がんの症例写真と解説

内視鏡の症例 胃がん

画像下側にわずかな白い陥凹部分と隣り合うわずかな赤い隆起。
早期胃がんの通常光観察です。
早期胃がんの色素散布法(インジゴカルミン)です。陥凹部分には色素がたまり、赤い隆起とともにより明瞭に観察できます。
早期胃がんのNBI拡大画像です。
陥凹部分が白色で内部に乱れた血管構造が見られます。
早期胃がんと同部位の正常像です。粘膜の凹凸はありません。
進行胃がんの画像です。不整に隆起した胃がんによって、胃の内腔がほぼ塞がっています。
進行胃がんと同じ部位の正常像です。大きな内腔が保たれています。

胃がんを早期に発見するために

胃がんを早期に発見するために


胃内視鏡を受ける最も大きな理由は、胃がんの早期発見です。
早期発見される胃がんは、早期胃がんと呼ばれます。早期胃がんは、お腹が痛い、吐き気がするなどの症状はありません。無症状のうちに受診した、胃内視鏡で見つかることがほとんどです。ですので、胃内視鏡を受けようと思わないと見つからない病気です。
私ども夙川内視鏡内科まえだクリニックは内視鏡検査の敷居を下げ安楽な内視鏡検査を提供することをその使命に掲げています。患者さんが過去の苦しい経験から胃内視鏡から遠ざかってしまうことで、胃がんの発見が遅れてしまうことを懸念しています。


胃内視鏡を受けたら、安楽で毎年でも受けたいと思っていただけるように、経鼻胃内視鏡を採用しました。また、鎮静剤を工夫して、口から細い胃内視鏡を挿入する方法も提供しています。

早期胃がんは治る病気です

早期胃がんは治る病気です

胃がんは、男性では2位、女性では3位に多いがんです。死亡数は肺がん、大腸がんに続く第3位のがんです。しかし、内視鏡治療や抗がん剤治療の進歩により、胃がんで亡くなる方は近年減少しています。内視鏡治療とは、胃カメラから電気メスを出して行う治療ですが、内視鏡治療ができるがんは、早期胃がんでなくてはなりません。私が勤務した国立がんセンターでは、全ての胃がん患者の50パーセント以上が内視鏡治療で治療されています。内視鏡治療が可能であった患者さんはもちろんですが、国立がんセンターがん情報サービスの全国調査では、早期胃がん(病期分類ステージ1)の治療後5年生存率は、97パーセントです。早期胃がんで治療されると、97パーセント助かると解されます。しかしこの97パーセントの中には、外科手術を受けて胃切除された患者さんも含まれています。胃を切除せずに胃がん治療が終えられるように、内視鏡専門医による胃内視鏡を定期的に受診することをお勧めします。

現在でも、胃がん検診としてバリウム検査(胃X線検査)が行われています。胃内視鏡が手軽に受診できるようになる前には、バリウム検査が胃がん検診の主力でした。バリウム検査は、費用は安く済みますが、直接胃の粘膜を見ることはできないため、小さながんは見落とされてしまいます。私の経験では、最小5㎜まで胃内視鏡で発見し、内視鏡治療することで、胃を切除せずに完治させることができました。胃を切除せずに胃がん治療が終えられるように、内視鏡専門医による胃内視鏡を定期的に受診することをお勧めします。

がんを見落とさない工夫

基本中の基本、通常光観察

カメラの画像と同様になんら画像処理されていない観察方法を、通常光観察と呼びます。通常光観察は、内視鏡診断の基本中の基本です。しかしどんな仕事でも同じと思いますが、基本中の基本は、十分に時間と労力をかけたトレーニングが必要です。私がトレーニングを受けた国立がんセンターでは、一例一例、診断カンファレンスで全員の前で内視鏡画像を読影(解読)します。5分のプレゼンに2時間をかけ準備しましたが、毎回厳しい指摘の連続でした。その結果、内視鏡技術の基礎体力がしっかりと培われたと実感しました。

早期胃がんは、胃潰瘍と区別が難しいものが多く存在します。極早期の胃がんで多い特徴を示します。わずかに陥凹した粘膜の欠損は、その辺縁が良性潰瘍のような整ったものではなく、また白色の付着物、白苔(はくたい)もまだらで、良性潰瘍のような均一なものではありません。他にも様々なバリエーションがありますが、このような所見を積み重ねることによって、1センチ以下の極早期の胃がんを診断することができるようになります。

通常光観察に加えて、見落としのない胃内視鏡を実現するために、当院での工夫を紹介します。それは、色素散布法と酢酸散布法、そしてNBI観察法というものです。

色素散布法

これは一通り、胃の中を通常光観察した後、胃全体に青い液体(インジゴカルミン)を散布して、小さいがんを見つける方法です。胃カメラの専門技術では伝統的な方法ですが、当院では胃の中全体に色素を散布することで、がんの見落としを防ぐようにしています。この青い液体は、光のコントラストをつけて胃の壁の凹凸をはっきりさせる働きがあります。がんは胃の壁の中で、出っ張っていたり、凹んでいたりしますので、光のコントラストがつくと見つけるのが容易になるという仕組みです。さまざまな先進技術が胃内視鏡には付与されていますが、未だに大学病院や全国のがんセンターで多く用いられる方法です。がんの怪しい部分だけ、この色素散布法をするドクターもいますが、当院では胃の中全体に色素散布法をして、小さながんを見落とさないように注意深く観察しています。ちなみに、色素散布法で用いる青い液体、インジゴカルミンは、身体に無害で副作用は起こりません。私が検査に集中するあまり、インジゴカルミンが飛び散ることがあります。衣服などに着くと洗濯をしないと落ちないため、胃内視鏡の検査中は、ビニールのシートを患者さんにかけるようにしています。

酢酸散布法

酢酸とは、お酢です。薄めたお酢を胃の中に撒くと、がんでない部分は白く、がんの部分は赤く浮かび上がります。これも色素散布法と同じく、検査中に簡便にできますので、がんを見落とさない胃内視鏡をするために当院では行っています。酢酸、すなわちお酢は食品ですので、これも副作用は起こりません。簡便に、色素散布法と酢酸散布法を同時に一気に行ってしまう工夫も、検査時間を短くする目的で行っています。

NBI観察法

胃内視鏡で通常の観察、色素散布法と酢酸散布法に加えて行う観察法です。当院の内視鏡システムは、オリンパス社最上位機種、EVIS LUCERA ELITEを使用しております。大学病院や全国がんセンターと同様のシステムを使用しています。このシステムに付属するNBIとは、狭帯域画像強調と訳しますが、日本語に直してもピンとこない難解な用語です。簡単に説明します。胃内視鏡から投射された光は、通常は赤、青、緑の光で構成されます。NBIではこのうち赤を除き、青と緑の光で観察する方法です。がん組織は増殖スピードが速いことから、血管が豊富になります。NBIでは、血管内の赤血球を青色の光が捉えやすくなります。このため、がん組織を内視鏡画面で見つけやすくなるという仕組みです。

当院では、このNBI観察法を胃だけでなく、食道や大腸でも活用して診断能力の向上を図っています。

組織生検法

胃がんを疑う病変があれば、胃内視鏡から器具を出して、3mmほどの組織片を採取します。この組織片は、ホルマリン液に浸した後、顕微鏡検査に提出します。病理専門医により良性悪性が診断されます。判定まで2週間ほどかかりますが、がん組織を判定する最も重要な検査法です。ワーファリンやアスピリンなど、血液をサラサラにする作用の内服薬を服用されている患者さんには、個別の対応が必要ですので、受診時に必ず申し出てください。

まとめ

    ・胃がんは早期発見されれば、治癒する病気です。胃を切除されずに治療できるよう、定期的な胃内視鏡を受診しましょう。
    ・胃内視鏡は、基礎的な訓練の必要な通常光観察に加え、色素散布法、酢酸散布法、NBI観察法、組織生検法と言った専門技術が必要な検査です。内視鏡専門医による検査を受けることをお勧めします。